DSC_0287

欧米では、もちろんパーク、専用コースもたくさんありますが、圧倒的に多いのがトレイルです。トレイルビルダーの浦島さんは、欧米ではトレイルとパークの比率が9:1とおっしゃっていました。
なので、朝起きて「今日はどこか走り行こっかな~、じゃあ近くのあのトレイル行こうかな~」「明日はあっちのトレイル行こうかな~」といったふうに周囲のたくさんのトレイルが走れる状況になっています。しかもそれが公に認められています。

しかし今の日本は、パークや専用コースのほうが走行OKなトレイルよりも多いという、とても偏った状況なのです。今の日本で走行OKなトレイルは数えるほどしかありません。いいか悪いかよくわからない状況で走らざるを得ないのです。それじゃあ、一般の方はそうそうマウンテンバイクに入ってこないですよね。。。

トレイルは、マウンテンバイクのみでなく、登山者やハンター、林業関係者、トレイルランナー、地元住民など様々な人たちが利用する公共の道です。もともと日本中に無数に存在している山道であることが多いです。それらのトレイルはたくさんの地権者をまたいでいることが多く、さらにそのトレイルの管理者は麓集落だったり行政だったりと、トレイルごとに土地所有状況も管理状況も異なってきます。そんな複雑な日本の無数のトレイルを走行OKにすることは並大抵のことではありません。それがただの現実であり覆せないことであります。その現実を直視し、活動しているのが全国のマウンテンバイカーによるボランティア活動です。少しでも地域に理解いただき、走っていいよ、と言われる未来を目指して少しずつコツコツと活動しています。例えば、ゴミ拾いやお祭りのお手伝いやその他さまざま地元の困っていることに取り組まれています。

僕が主宰している南アルプスマウンテンバイク愛好会では、真に目指していることは、「日本中のたくさんのトレイルをマウンテンバイクで走行OKな状態に社会をもっていく」というところです。新規でトレイルを作ってもとてもきりがないので、そうではなく、マウンテンバイカーによる社会貢献をすることでマウンテンバイカーが必要な存在となり、その僕たちのケーススタディから全国でも学んでいただき、同じような活動が増えていき、全国的にマウンテンバイクが走行OKになる。もちろん、制限がある中で、認定されたトレイルのみ、という条件付きになる可能性も十分考えられますが。欧米でも各地にローカルのボランティア団体が存在し、彼らが地権者や行政などと折衝したりトレイルメンテナンスを行っています。日本ではまだまだ少ないかもしれませんが、欧米ではすでに定着しているスタイルです。それらの活動を営利組織でやるには膨大な時間と人足、つまりお金が必要となり難しいと思います。日本のマウンテンバイクマーケットは先進国でも最も遅れていて、かつ小さいです。欧米の数十分の一、もしくは数百分の一という規模だと推測されます。これは明らかな構造的欠陥があるためで、その欠陥とは「数多くある山道(トレイル)が走行OKでない」ということです。そこをクリアすればマーケットが爆発的に大きくなるはずです。その今までできていないかった部分、ボランティアによる環境維持、環境づくり、そこが鍵を握っているのです。

昨今、かけがえのない努力によって全国にマウンテンバイクパークが少しずつ増えてきていますが、マウンテンバイクのフィールドとしてはやはり欧米ではトレイルが圧倒的シェアになります。パークは技術習得や初心者受け入れなどで入り口として非常に重要で無くてはならない存在です。もちろん頂点を極めるレースも開催できるのもパークです。この日本において走行OKな貴重な場所ですから。しかし、やはり気軽に走行できる場所が数多く、そして身近にあることでユーザーが増えていきます。その気軽に乗れるところというのがトレイルになっていくわけです。

このパークとトレイルがバランス良く存在することがマウンテンバイク環境としてとても重要だと思っています。今の日本には走行OKなトレイルが圧倒的に不足しています。ビルドのみでなく社会を動かす活動をすることで走行OKなトレイルが爆発的に増えていくのではないかと思っています。また、トレイルは既存の山道を使用すればビルドの手間も最小限になるので特効薬にもなります。ここで持続可能なトレイルという考え方は今の日本のマウンテンバイク環境としては走行OKなトレイルが少なすぎるという非常事態ですので割愛します。マウンテンバイク人口が増えてきて本当にトレイルにマウンテンバイカーが集中してしまい傷むようであれば対策を検討していくくらいでもいいのではないかとも思っています。最初から完璧はありえません。少しずつブラッシュアップしていくほうが現実的だと思います。

現在の日本のマウンテンバイク環境は非常事態です。トレイルを走って場所がわかるような写真をWEB上や書籍上のアップしたら地権者や管理者、他の利用者から行政やサイト、出版社へ苦情がきて問題になります。状況によっては、マウンテンバイク走行自粛の看板や条例で禁止になる可能性もあります。それはマウンテンバイクは危険な存在、マウンテンバイクは山林山村にとって役立つ存在と思われていない、などのすれ違いからです。だからといってヤケを起こすのではなくなんとか理解していただこうと地道に継続的にボランティア活動をしていくことですこしずつ社会から理解を得れてすぐに禁止になったりしない社会に持っていくことができると思います。さらに発展すると、走行OKという社会になっていくわけです。

僕は活動を主宰している立場上、行政の方、地元住民の方、地権者の方、管理者の方、林業従事者、ハンター、他の利用者と頻繁に数えきれないくらい接しています。もちろん、理解いただき賛同いただいています。日本の山林は歴史が古く、また住民の生活を支えてきたものですので、そう簡単にはいきません。これが現実です。マウンテンバイクも社会の中で遊ぶものです。現実を直視して、現実から目を背けず逃げずにやらねばなりません。ただし、ここで忘れず言わなければならないことが、「やりたい人がやれるだけやる」ということです。無理してはなりませんし、やってみたいと思える興味のある人たちでやっていったほうが楽しいですしおもしろい世界を作れると思っています。よく、「こういったボランティア活動があると面倒くさそうでマウンテンバイクを始めたい人が減る」と言われることがあります。しかし、現実的にやらなければ走れる場所は減ります。というは一瞬にして日本全国でだめになってしまう可能性も十分にあります。それは3年前の東京都の「自然公園利用ルール」がいい例です。もし東京近郊で地元や行政と深くかかわっている活動団体が無かったら、東京の自然公園は全面自粛になっていました。そして首都東京でそうなったのであれば、ということで全国の都道府県もどんどん同じように制限が加わり瞬く間に日本全国マウンテンバイクが乗れない状況になっていったことでしょう。これが現実です。

ですので、マウンテンバイクのボランティア活動は必要不可欠なことなのです。それとパークや専用コースが組み合わさるとマウンテンバイクにとってとてもいい国になると思っています。そうなれば自然と地域活性化が進むことと思います。

長文失礼しました。